産業用コンテンツ制作ワークフローのためのプロフェッショナルオーディオファイルミキシングツール

はじめに

AUDMIXは、複数のWAVファイルをステレオWAVファイルにダウンミックスするソフトウェアです。 業務で映像制作を行なう現場で必要になる同時録音素材のミックスダウン作業にかかる負担を最小限にするために開発されました。 DIT業務を考慮した設計になっており、時刻参照情報を後段編集プロセスに渡すためのメタデータ搬送機能も搭載。 従来の汎用オーディオツールでは難しかったワークフローを簡単に実現できます。

AUDMIXアプリケーションウィンドウ
AUDMIXアプリケーションウィンドウ

ユーザーインターフェースは、撮影現場の照明環境を阻害しない配色を採用し、撮影の合間に変換作業を行なう場合にも安心。 また、マスター素材を最大限保護するために、同名のファイルを検出した場合に自動的に書き込みファイル名を変更する上書き防止機能を搭載。 厳しい撮影環境で操作を続けるオペレータの心理的負担を最小限にします。

AUDMIXを使ったシンプルなワークフロー
AUDMIXを使ったシンプルなワークフロー

このミキシングツールは、入力WAVに埋め込まれた時刻参照をそのまま出力WAVファイルに搬送する機能が搭載されています。 撮影現場で同時収録された複数のオーディオファイルを映像の仮編集用素材と一緒に渡す場合、様々な箇所の収録音声トラックをそのままミックスしてステレオ信号に乗せるなどの運用に最適になるように設計されています。 また、撮影現場に配慮したユーザービリティを備えており、絶対に既存ファイルに対して上書き処理を行なわない安全な設計など、他のツールにはない特長を備えています。 AUDMIXは、DIT環境に最大限配慮し、オーディオファイルのみを入出力対象として扱っています。 このため、オーディオデバイスにアクセスする事もありません。 安心して既存DIT環境に導入頂けます。

AUDMIXを使ったダウンミキシングワークフロー
AUDMIXを使ったダウンミキシングワークフロー

AUDMIXは、独立した音声収録系統から集められた音声素材を、仮編集に必要な統合音声トラックにするためのツールとして設計されました。 厳しい時間制約のある現場でも短い時間でダウンミックスしたファイルを生成可能で、撮影現場での精神的な負担を極力低減するように設計しています。


機能特徴

  • ファイルをドロップするだけでミキシング対象を選択可能な簡単操作
  • 複数のWAVファイルをステレオWAVファイルにダウンミックス
  • 後段の編集プロセスとの親和性を考慮した時刻参照情報の伝搬機能
  • 同時並行で変換処理を実行可能なプロセスラック機能搭載
  • 内部計算処理は64ビット浮動小数点で行なわれ小さな信号の多重ミキシングでも安心
  • 左右独立してゲイン設定が可能な入力信号の出力用ステレオバス入力機能を搭載
  • ミキシングチャネル数に応じてレベルを自動調整するMAGIC技術搭載
  • 複数のコピーを別々のストレージに格納時に便利なカーボンコピー機能搭載
  • 作業状況報告に便利なExcel記録シート生成機能搭載
  • マスターデータを絶対に壊さない二重の安全機構を搭載
  • WAVファイルに格納された時間情報を元に同じテイクのWAVファイルを探索するMatch Time Reference Finder(MTRF)機能搭載

同時録音音声素材の自動探索

同時録音されたトラックが複数のモノラルオーディオファイルとして存在する場合、ファイルシステム上からそれらの関連するファイルを人手で探すのは大変です。AUDMIXでは、WAVファイル内部にあるオーディオ拡張情報を参考に関連するオーディオ素材を自動的に見つけ出す機能が搭載されています。一つ目のWAVファイルを登録したら、そのWAVファイルを右クリックして「コンテンツを見つける」をクリックして下さい。

出力WAVファイルに適用する拡張オーディオ情報の選択

AUDMIXは、Broadcast Wave Format(BWF)で規定されたオーディオ拡張情報の格納に対応しています。選択した入力WAVファイルの中から、出力WAVファイルに適用する拡張オーディオ情報を選択する事ができます。入力トラックに登録したWAVファイルの中から、所望の入力WAVファイルを右クリックして「オーディオ拡張情報をコピー」を選択します。ここで選択したオーディオ拡張情報は、プロセスリストに追加する時に記録され、変換処理で出力するWAVファイルに適用されます。

素材をツールで開く/素材の場所を見る

限られた時間の中で膨大な確認作業を行なう事が欠かせない撮影現場では、入力する素材の確認、出力した素材の確認作業が欠かせません。AUDMIXでは、WAVファイルをツールで開いたり、素材ファイルのある場所を開いたりする作業をワンクリックで実行するためのボタンが各入力ファイル/出力ファイル毎に備えられています。入力前の事前確認や出力後の事後確認など、細かな作業が重なるDIT業務においても欠かせないユーティリティ機能となっています。

同時バッチ処理可能なプロセスリスト

AUDMIXの並列実行可能アーキテクチャは、異なる多重チャネルのミックスダウン処理を複数のCPUコアに分散させて同時処理できます。このため、事前に処理内容を確認した上で実行を開始でき、逐次実行の場合と比べても遥かに短い時間で多くの音声素材を処理できます。実行環境の計算資源を最大限使用して処理時間を短縮化する事により、撮影現場の活動を止めません。

ステレオバス重畳にデマルチプレクサー+チャネル個別フェーダーを採用

ガンマイクなどで拾われた音声をポストプロセスで編集する場合、あらゆる音声信号を指針に編集を行ないます。この場合、特定のチャネルのオーディオ信号をステレオバスに好みのレベルで乗せたいもの。AUDMIXでは、入力オーディオ信号をパンニングではなく、デマルチプレクサーとチャネル個別フェーダーを使って、ステレオバスの左右それぞれに好みの音量でミックスできる信号処理系統を採用しました。従来のパンニングでは難しかった左右同レベルの音声分配を可能にしています。

マルチトラックWAVファイルに対応

モノラル、ステレオのWAVファイルだけでなく、3チャネル以上のマルチトラックWAVファイルに対応しています。AUDMIXはファイルの音声トラック毎に、出力ステレオバスへの送り出し音声レベルを設定できます。3チャネル以上のマルチトラックWAVファイルの時にも同様で、ファイルに格納されているトラック1つ1つをどのレベルでステレオバスに送り出すのかを決定できます。ユーザーインターフェースは、アナログミキサーのレイアウトを意識した設計になっており、初めて触れる方でも直感的に操作できるようになっています。

書き出したファイルを複数の場所に複製するカーボンコピー機能

DIT現場において二重のバックアップ処理はデータの安全性を担保する上でも欠かせません。AUDMIXでは、書き出し完了と同時にバックアップ用ディレクトリにファイルをコピーするカーボンコピー機能を用意しました。異なるスタジオに同じ素材を送り出さなければならない場合や、ローカルストレージと外付けストレージの二箇所に音声を保存したい場合など、様々なシーンでお使い頂ける機能です。

IEEE 64bit, 32bit 浮動小数点サポート

IEEE 64bit, IEEE 32bit浮動小数点形式で保存されたWAVファイルにもいち早く対応。業務用音声機器で収録された音声ファイルへの適応性を大幅に向上させました。細かな音声情報を余さずミキシングするために、ミキシングバスは64bit浮動小数点で処理を実行。大量のトラックを同時ミキシングする場合でも余裕の信号処理を実現します。

デザイン

内部信号処理系統

AUDMIXの開発は、信号処理系統を決めるブロック図の設計から始まりました。 DIT業務で必要になるオーディオファイルのダウンミキシングに特化した信号処理ブロックとは何か?を追求して生まれた特別な設計。 複数のWAVファイルを自由にダウンミックス用ステレオバスに接続でき、接続されたチャネル数に応じた自動レベル調整機能を搭載。 数多くの音声トラックをダウンミックスする場合にも、適切な信号レベルが自動的に得られ、現場でのオペレーションを格段にシンプルにします。 内部演算は64ビット浮動小数点処理を採用。小さなレベルの音声信号のミキシングでも安心です。 また、複数の処理をバッチ実行可能にするための設計として、並列実行可能アーキテクチャを新たに開発しました。 計算リソースが許す限りの並列同時実行処理を可能にする事で、撮影現場の限られた時間を有効に活用できます。

内部信号処理系統のブロック図
内部信号処理系統のブロック図

ユーザーインターフェース

ユーザーインターフェースは、直交性の高い信号処理系統をそのまま表現するものとして、往年のアナログミキサーに代表されるレイアウトを採用しました。 画面左側には入力トラック表示されます。左から順に並ぶ形式とし、チャネルが増えたらスクロール出来るようになっています。 画面右側には同時並行処理が可能なプロセスラックが配置され、これから処理が行われるプロセスを一覧表示で確認できます。 実行環境のディスプレイ領域に余裕があれば、ユーザーインターフェースのウィンドウを横に拡げてチャネルをひと目で確認できるようにするのも良いでしょう。 この内部信号処理系統と統合されたユーザーインターフェースによって、複雑な内部処理をいとも簡単に扱えるように設計されています。

多チャンネル入力時のユーザーインターフェース
多チャンネル入力時のユーザーインターフェース

仕様

項目 仕様
入力ファイル拡張子 拡張子: .WAV
入力データ形式 PCM (8-bit, 16-bit, 24-bit, 32-bit), IEEE float (32-bit, 64-bit)
入力データエンディアン形式 リトルエンディアン
ファイルあたりの入力チャネル数 最大32チャネル
出力ファイル拡張子 拡張子: .WAV
出力データ形式 PCM (24bit)
内部演算精度 64ビット浮動小数点処理
関連仕様 EBU Technical Specification 3285 v2 / EBU Technical Specification 3306-2007 / EBU Technical Recommendation R85 - 2004
対応プラットフォーム Windows / macOS
ライセンス形式 オンライン登録
推奨動作環境 ディスプレイ:1920x1080以上 / メモリ:8GB以上 / ディスク:2GB以上の空き容量 / プロセッサ:Intel Coreシリーズ,Xeonシリーズ

比較

項目 AUDMIX 2021 (Version 1.0.0) AUDMIX 2024 (Version 1.1.0)
Windows support Yes Yes
macOS support No Yes
データフォーマットサポート (unsigned 8bit) Yes Yes
データフォーマットサポート (signed 16bit) Yes Yes
データフォーマットサポート (signed 24bit) Yes Yes
データフォーマットサポート (signed 32bit) No Yes
データフォーマットサポート (IEEE float 32bit) No Yes
データフォーマットサポート (IEEE float 64bit) No Yes
オーディオ拡張情報に対する警告ダイアログの設定機能 No Yes
オーディオ拡張情報に対する情報ダイアログの設定機能 No Yes
Mixing Auto Gain Internal Controllerの設定機能 No Yes

購入

ストアは一時的に無効化されています。 購入を希望される方はリベラルロジック株式会社までお問い合わせ下さい。

リンク

AUDMIXは、株式会社虎徹とリベラルロジック株式会社の共同開発品です。


株式会社虎徹

AUDMIXは、株式会社虎徹様の鋭い洞察力から生まれました。撮影現場における常に的確な対応はもちろんのこと、撮影機材やワークフロー、最新の映像技術に関する研究と開発まで幅広く取り組まれており、その活動は世界屈指と言っても過言ではありません。数多くの撮影実績を見る事のできるWORKSページには、著名なアーティストのプロモーションビデオや、誰もが知るサービスや商品のCMが並んでおり必見です。

リベラルロジック株式会社

AUDMIXの設計と実装は、リベラルロジック株式会社が担当しました。約20年に渡る業務用映像音声機器に関連するソフトウェア開発経験を背景に、キビキビと動作する優れたリアルタイム性を持つソフトウェアを提供しています。業務用映像機器のファームウェアに代表される組み込みソフトウェア開発技術を基盤に、デスクトップソフトウェア、サーバー型上映システムなどの幅広い開発実績を保有。業務で映像や音声に携わる人達の心の支えになるようなサービスとソフトウェアを提供するのがリベラルロジック株式会社の使命です。